• コーチングについて具体的に

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     キャリアをどう築けば良いのか、自分の能力をどう開発していくのか、新しい環境にどう適応していくのか、自分はこれから何を目標にしていけば良いのか・・。これらは結局自分で答えを出して実行していくしかありません。コーチングは米国で開発された手法です。コーチは様々なディスカッションを通して、クライアント自身が根本にある課題やオプションを発見し、新しい行動につなげていくことをお手伝いします。

     

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     会社の上司は指示をしたり相談に乗ってくれるかもしれません。でも上下関係を意識せざるをえないため、本人の自発性が失われることもしばしばあります。

     組織の中で上になってくれば来るほどコーチングの必要性は高まります。職務が高度化する反面、本人の考え方は固定化し、周囲からのフィードバックも減ってくるからです。本当は新しい世界にチャレンジしないといけないのに、踏み出せない人は沢山います。

     さらに定年などで会社を離れた時、これからは自分で生活や生き方を設計しなければいけない、不慣れなためふと迷うこともあります。まだまだ人間的に成長していけるのに、諦めてしまう人もいます。

  • コーチングの実際

    何をコーチしてもらうの?

    ここでいうコーチングは、スポーツなどと違って特定の技能をクライアントに指導するものではありません。仕事の日常業務の改善などはあまり向いてないと思います。むしろ重要だけどなかなか手を付けられていない課題、例えばキャリアプランとかチームの改善とか、が適していると思います。また、人によってはこれからのライフプランの設計みたいなこともあります。

    いづれにしろ、コーチングの最初の段階での、テーマの明確化は非常に重要なので、じっくり話しまた途中で振り返るようにします。

     

     

    コーチは話を聞くだけなの?

    確かにコーチは相手を理解するために聞くことに徹しろとは言われます。様々な質問を通して相手の話を聞くというのは、コーチにはとても重要なスキルです。でも実際にはアイデアをぶつけたり、クライアントを刺激しないと、なかなか活発な議論や気づきも起きません。たまにはコーチが積極的にアドバイスをすることも構わないと私は思います。また行動を促すために、アドラー心理学で言う、”勇気づけ”も大事だと思います。

    ビジネスコーチとライフ

    コーチ?

    コーチングの課題は、仕事の話が多いとはいえ、そこにその人の価値観・これまでの人生経験・環境など様々なことが影響を与えていることがよくあります。だからビジネスコーチとライフコーチは重なる部分が多いのではないでしょうか。

    またビジネスにおいて個人が感じる様々な課題は、アートやスポーツなどと共通する部分が多いと思います。ビジネスの人が、アーティストやスポーツマンから学んだり、自分がビジネス以外で体験していることを振り返ることも有用です。私もスポーツや音楽、本や旅からビジネスのインスピレーションを得ることが多いように思います。

    コーチとクライアントの相性

     

    コーチングがうまく行くかどうかは、コーチとクライアントの相互作用によります。だから先ずは信頼関係、そして相性は成果に大きく影響すると思います。相性とはいっても、お互いが同じタイプである必要はなく、むしろ微妙に異なる方がうまく行くような気がします。また、コーチがクライアントよりかなり年齢・経験が上の場合、コーチが無意識にメンター アドバイザーになってしまう場合もあるので注意が必要です。私も若い人をコーチングする場合は、相手から学ぶ姿勢を大事にしています。

    時間・エネルギーの投資

    企業からの依頼でコーチングが始まった場合でたまにありますが、クライアントがコーチングに受け身なスタンスだと中々うまく行きません。また目の前の業務については一生懸命考えるのだけど、そこから離れたやや長期的・抽象的なことについては、考える訓練ができてないという場合もままあります。

    コーチングを通じて、自分もいろいろ考えたり、新しいやり方を試したりしないことには、成果が出るわけもなく、コーチングは無駄に終わることがあります。

    コーチングの効果?

    これはクライアントに意欲があって、コーチングの課題が明確で、それをうまく引き受けられるコーチを見つけられるかどうかによるでしょう。ぼわっと終わるコーチングもあると思います。でも、コーチングをきっかけにな何かが動き始めた方はいます。個人的にも、若い頃に受けたコーチとのセッションが心に刺さったことを覚えています。

    コーチングの対象者は?

    企業で多いのは、いわゆる管理職を対象としたExecutive Coachingだと思います。しかしコーチング自体は、相手が自分で考え行動できる段階の人であれば年齢を選ばないと思います。私はこれまで20代半ばの人から60代の人までやってきましたが、アプローチは同じです。また、人それぞれに興味深い課題があります。

    コストや時間はどの位?

    コーチングは会社が人材育成の一環として社員にコーチをつける場合と、個人がコーチを自分で頼む場合があると思います。個人の場合は、そう大きな費用は払えないと思います。無償というのも無責任になり、良くないと思います。期間も様々だと思いますが、経験的には3カ月・各1時間、6~8回位のセッション(5万円)が課題解決には良いのではないかと思います。

    コーチングはビジネスか?

    コーチに公的な資格はなく、一定の研修・試験を受けて得る民間資格です。コーチングの手法自体は心理学やカウンセリングを総合したようなもので、取得するのはそれなりの努力が必要です。企業を相手にサービス提供をしているコーチングの専門会社もあるので、そういう意味ではビジネスなのでしょう。ただ、私のように個人でやる場合、これを営利ビジネスにするのは難しいかもしれません。根本は人の役に立ちたいとか、自分も学びたいということがモチ―ベーションになるわけで、収益ではありません。またやはりクライアントのことをじっくり考える訳ですから、沢山の人を相手にすることはできません。

    ゴール設定は難しい

    キャリアプランやライフプランをコーチングをする時に、ではゴールはという話になるのですが、これは簡単ではありません。例えば「将来経営者を目指したい」とか言っても、それがどこまで本当の望みなのか、具体的にどう動くのかなど、詰めることが沢山あります。そして何より、今の不確実な時代が先の話をすることを難しくしています。明確な目標に向かって突き進む、なんてそんなことが可能な時代でしょうか? ただし、それでも言葉に出して、先のイメージをクリアーにしていくことは大事で、コーチングの重要なタスクだと思います。

     

    自分は何者?

    コーチングは、基本的には目的を持った会話セッションです。コーチはクライアントの話に耳を傾ける訳ですが、結局一番大事なのは、その人の価値観や考え方の基本を探ることです。またクライアントも話をすることでそれを確認し、必要な調整を行うことができます。

    コーチングと心理学

    アドラー心理学を少し勉強したことがあるのですが、コーチングと共通する点が多いと思います。アドラー心理学自体、そもそも人間性の原理にもとづき、いかに幸福(精神的健康)を得るかということを主眼にしています。相手に寄り添い、いかに「勇気づけて」、その人がすこし変わっていくことを助けられるか、その実践的な考え方はコーチングに大いに参考になります。

  • よく聞かれる悩み・コーチングのテーマ

    キャリア

    若い人なら、現状を打破してもっと上を目指したい、そういう道にチャレンジしたい。中間管理職的な人なら、事業部長・役員をめざしたい、そういうスキルを身につけていきたい。或いは、小さな会社でもいいから「社長」(General Manager)をやってみたい。タイムフレームとしては、5年位のビジョンを求める方が多いでしょうか。

    難しいのは、これは当然ながら周りの人との評価、本人のスキルや能力、そして運の要素が絡むので、一方的な希望だけではどうしようもないというてんでしょうか。さらに、そもそも本当にこれが本人がやりたいことなのか、頭の中で「やるべき」と思っているだけのことなのかも大事なポイントです。

    スキルや能力(Capability)

    今の仕事に関するスキルは大丈夫だが、それ以外となると・・・ マーケティングのスキルに自信がない、逆にマーケティング(企画系)はできるのだが、もっと”どろどろした”営業はよくわからない、人(People Management)の経験が乏しい。時折社内外のセミナーとか行くが、それでどうなるものでもない。とはいえ、今更、MBAとか頑張るのも辛いし、果たして役に立つのかどうか。

    人間関係

    上司との関係をどうマネージしていくのか。上司が信頼・尊敬できない、とはいえ、うまくやっていかないといけない。或いは、部下との関係がうまくいかない、うまくモチベーションを上げていけない。逆に、自分のスタイルに問題があるのではないか。チームが活気がない、パフォーマンスが上がらない。

    ハッピーになる方法

    直接こういう風に言われる方は少ないですが、煎じ詰めていくと、仕事・キャリアだけの問題でもなく、自分自身の総合的な満足感・幸福感を高めるにはどうしたらいいのか。そういうことを考えることに意味があるのか。どういう要素があるのか。これは既に仕事の一線を退いたシニアな人にも、というかそういう人こそ、切実な課題。間違えると、現役の時の自分に固執してしまうことになります。